2021/09/05 22:57



 

202195日日曜日 ☁️

 

 

 

YouTubeでのLIVE配信公演だった。

 

こちらの劇団ではないが、この状況になってから小劇場演劇の配信公演を何本か観た。

実際に、劇場に観に行った公演もある。

舞台から離れてからほとんど観劇をしてこなかった私が久しぶりに小劇場演劇を観るようになって思ったことは、「小劇場演劇が、ディズニーみたいになってる」ということだ。

私が小劇場でバリバリに演っていた頃も踊ったり歌ったりすることはもちろんあったが、照明、音楽、衣装、舞台など全体的にみてエンターテインメント性が強くなっている。

自分たちの表現したいものをよりお客様が楽しめる表現で、小劇場という距離の近さをを十分に生かして受け入れやすくしようという傾向が強まっている、と感じる。エンターテインメントは観客あってのもので、その人たちのために、という動機が感じられる舞台が増えていることが素晴らしいと思うし、とても嬉しい。

 

 

私はこちらの劇団、「劇団やぶさか」の公演を観るのは、今回が初めてだった。

しかし、劇団員の方たちとは、もう何年も前、私が移動する羊の作品に出演した時に出逢った。その時のことは今でもとても印象深く、私の記憶の中にある。

 

移動する羊の公演の小屋入り後、舞台上で練習をしていた時のことだった。

私は演技中、自分の衣装の袖に、ワインに見立てたジュースをこぼしてシミを作ってしまった。ぶどうジュースだったので、目立つ。けれど、舞台に立っていればお客様からは見えない程度のシミ。私は演技するには差し障りは全く無いから仕方がないと言ったのだけど、それをお手伝いで来てくださっていた「劇団やぶさか」の方たちがドラッグストアにシミ抜き洗剤をわざわざ買いに行って、必死になってきれいにシミを取ってくださった。

それまで私は演劇で自分のことはほとんど自分でしていたので、そんなふうに温かく親身に解決してくれる「劇団やぶさか」の方々に感動して、大好きになった。

しかしその公演後舞台から離れ、めったに観劇もしていなかったので、「劇団やぶさか」の公演を今日まで観たことはなかった。

なので、今日の日がなおさら楽しみだった。

 

「劇団やぶさか」は、フェリス女学院大学演劇部を母体とした、女性のみの演劇集団だ。

女性のみという劇団を私は実際に観るまで、どういう感じの舞台をするのか想像できなかった。

しかし今日観て、長年積み上げてきたであろうこちらの劇団の作品の雰囲気は、私に違和感なく入ってきた。男性が演るもの、とされてきた落語の世界にも女性が増えていて、今や楽屋に女性がいることは普通になってきているという。小劇場演劇というという世界も性別を超えて可能性を広げているんだ、ということを知った。

 

舞台のLIVE配信。

画面で観ていて思ったのは、動きがしなやかでとてもきれい。とても観やすかった。

その動きのしなやかさは女性特有の、とも言えるのかもしれないが、踊りもすごく上手で素敵だったし、ご本人たちの長年に鍛錬の成果なのかもしれない。

そうかと思えば、キレのある戦闘シーンもすごくかっこよくて惚れた。

 

照明やプロジェクションマッピングを駆使して映し出される海や空、優しいターコイズブルーのグラデーションで彩られた舞台と、アラビアンナイトの物語から誰もが想像する華やかできれいな配色の衣装が見事に調和している。

特に私がじっと見てしまったのが、動くとひらめく布が両腕から背中(かな?)についていること。それを見ていると、さらに幻想的な物語の世界に観客を惹き込まれる。

衣装はご自分たちで作られたんだろうか?動いても、変に崩れない。形もすごくきれいで、特に女性役の衣装がラインがきれい。動くとさらに目を惹く。

衣装が素敵な舞台を見ると、うきうきする。すてき〜

 

出演者は全員マスクをつけていたが、私はずっとそういう衣装だと思っていて。

マスクだと気づいたのは、第2夜(第2幕)だった。

物語の世界から現実の世界に観客を引き戻さない工夫が、とても素晴らしい。

 

換気のための幕間を入れて。

その時に物販のお知らせもあった。それも自然な流れで違和感なく受け入れられる。

パーカーがかわいかった。絵柄が可愛くて、(欲しいなぁ。)と凝視してしまった。

 

元々は観客を劇場に入れる予定だったが状況をみての急な配信公演に変更されたということもあったのか、音声などに苦労されたそうで残念ながら聴き取りづらいところもあったが、私は役者さんたちの声もとても素敵だと思って聴いていた。

結局は悪者のいない優しいストーリーも好きだったし、所々に散りばめられるラブストーリーにもドキドキした。音楽が物語の展開にマッチしていて、ワクワクした。

ラストは、期待していたところで暗転。(なんだよ〜!見せてくれよ〜!)と悶えた。

 

楽しかった!自分の部屋でPCで見てたけど、カーテンコールは思わず画面に拍手しちゃいました。

ブラボー!

 

 

観終わって、私の心に優しい気持ちが残っているのを感じる。

やっぱり、「劇団やぶさか」の方たちが一生懸命私の衣装のシミ抜きをしてくれた時のことを思い出すんだなぁ。

そういう人たちだから創れる舞台。

楽しい、夜勤明けのひとときでした。

ありがとう。お疲れ様でした!